スクリーニング

 

HHT Q & A 50 から

Q40. 私はオスラー病です.3歳の男の子がいますが、遺伝していますか?どこで調べてもらえますか?

A40.オスラー病があなたの子供に遺伝している可能性は50%です.それを調べる方法は、1) 遺伝子検査 と 2) 臓器のスクリーニング検査があります.HHT JAPANのホームページに全国の施設リストが掲載されているので、最寄りの施設の担当医や遺伝カウンセラーに相談することをおすすめします.

成人の場合はオスラー病であるかどうかをキュラソーの診断基準でほぼ正確に診断することができます.た だし鼻出血や皮膚粘膜の毛細血管拡張は年齢とともに出現してくるので、乳幼児の場合にはキュラソーの診 断基準では正確に診断できないことが多いです.一方、遺伝子検査は年齢にかかわらず正確に行うことが出 来るので、乳幼児には遺伝子検査が適していると言えます.

あなたが遺伝子検査で変異箇所を特定されている場合は、乳幼児でも採血による遺伝子検査だけでオスラー 病が遺伝しているかどうかを調べることができます.あなたが遺伝子検査を受けていない場合、もしくは受けたものの変異箇所が特定されなかった場合には、あなたの子供の遺伝子検査だけで遺伝しているかどうかを断定することはできません.この場合には肺や脳のスクリーニング検査で治療可能な動静脈奇形がないか 検査をした方がいいかもしれません.ただし、小さなお子さんの場合には検査に際して鎮静が必要なこともあるので、検査の種類や時期について担当医とよく相談して決めましょう.

Q41. スクリーニングは、どのタイミングで勧めた方がいいのでしょうか?
A41. 肺動静脈瘻による合併症は思春期ころから、脳動静脈奇形・動静脈瘻による出血は乳幼児から起こりえます.したがってスクリーニング検査は早ければ早いほどよいと言えます.

理想的には、まず遺伝子検査でオスラー病かどうかを調べましょう.オスラー病でなければ各臓器のスクリーニング検査を受ける必要はありません.オスラー病を引き継いでいることがわかった場合には各臓器のスク リーニング検査を受けましょう.但し、乳幼児の検査には鎮静が必要になることも多いので、担当医とよく相談して決めましょう.

Q42. どの臓器をどの検査でスクリーニングをすれば良いですか?
A42. 脳動静脈奇形の検出のためには頭部MRが適しています.数十分の検査時間の間はじっとしておく必要があるので、乳幼児に検査をする場合には薬物による鎮静が必要になることも多いです.

肺動静脈瘻のうち予防的治療の対象になる大きさの病変を検出するためには胸部CTが適しています.ただしCTは放射線被爆を伴うので、非侵襲型の検査(超音波エコーなど)で肺動静脈瘻の有無を事前に調べる ことも可能になりつつあります.
乳幼児に対する検査やその際の鎮静が可能かどうか、被爆を伴わない検査が可能かどうかは病院によって異 なりますので、担当医とよく相談して決めましょう.

Q43. 毎年、検査する必要がありますか?
A43. 検査をして動静脈奇形が見つかっている場合、治療やその後の検査スケジュールについては担当医と 決めましょう.
ある時点で肺や脳に動静脈奇形がみられなかった場合でも5年に1回程度の検査をおすすめします.
一般的には動静脈奇形は生まれた時点ですでに出来ているもので、成長とともに出来るものでは無いと考え られています.しかし、オスラー病の場合には成長とともに新しく出来てくる可能性が否定できません.た だし1年で急激に出来てくるわけではないので毎年検査をするのは過剰かもしれません.5年に1回程度の検 査が妥当ではないかと言われています.

Q44. 体育や部活などで運動制限はありますか?
A44. 肺動静脈瘻があっても半数以上の方は全く無症状と言われていますが、通常よりも息切れしやすかっ たり運動負荷に弱くなったりする方もいます.運動制限が必要かどうかは病状によります.スクリーニング 検査で臓器の動静脈奇形を指摘されている場合は運動制限が必要かどうか担当医とよく相談してください.
逆に、運動で全くしんどくならなくても動静脈奇形は隠れているかもしれません.無症状でもスクリーニン グ検査を検討しましょう.